narunaru_narunaの日記

こんにちは、なーると申します。主にアニメやクイズゲームなどのブログです。

今こそ、作品本位への回帰を願う

2013年4月期もそろそろ折り返しに近づいてきました。『魔法少女まどか☆マギカ』の影響か、力の入ったオリジナル作品も多く放送されるようになってきました。アニメ至上主義者の自分にとって、アニメがオリジナルの作品は原作を気にせずに視聴できるという点でとてもありがたいのですが、一方で、脚本の出来が悪い作品が多く見られるのも非常に残念なところです。

 

2013年1月期に放送された『ビビッドレッド・オペレーション』(以下、ビビオペ)、4月期から放送中の『革命機ヴァルヴレイヴ』(以下、ヴァルヴレイヴ)の両作品は、新聞広告が打たれたり(ビビオペ)、制作スタッフの豪華さが話題になる(ヴァルヴレイヴ)など、放送前の注目度は非常に高かったのですが、放送後の評判は芳しくなく、とりわけ脚本面の出来に対する指摘が多く見られます。大ヒットを目指した両作品の脚本がどうしてここまでグダグダになってしまったのでしょうか。

 

少し話題が逸れますが、ここのところ、作画監督が多くクレジットされる作品が多いですね。EDスタッフロールがあれだけ長いとすぐ目に付いてしまいますね。作画に関しては、優秀なアニメーターさんを大量に投入する人海戦術が取れるのでしょう(当然、コストに跳ね返ってくるのでしょうが)。

これに対して、脚本に関してはこのような人海戦術が取りづらいようです。各話の担当を振り分けることはあっても、作画スタッフのようにずらずらと名前が並ぶケースは見たことがありません。シナリオの整合性が無くなってしまうため、人手を増やすことは出来ないのでしょう。なので、良い脚本を作るには限られた人数で時間を掛けることが必要になると思います。

 

制作過程の事情は(暴露でもない限り)表に出ない話ですから、視聴者にはわかりませんし、あくまで想像の域を出ないですが、ビビオペ、ヴァルヴレイヴ両作品の脚本面で荒れっぷりは、いろんな立場の人から出てくるいろんな要望を纏めるだけの時間が足りなかった(力量も足りてない?)のではないかと考えています。それに加えて、「イベントチケットをBDに付ければある程度の売り上げを見込める」「シナリオがしっかりした作品でも売り上げが芳しくない例も多く、シナリオの良さが売り上げに大きく影響しない」といった傾向があり、脚本の出来が重視されていないことも脚本軽視に起因しているように思います。

 

TVに限らず、アニメーションは商業活動ですから、売りたい、ヒットを飛ばしたいという気持ちも非常に大事だと思います。しかし、ヒットさせることに拘り、過去のヒット作の要因を詰め込んでも、大元の作品、その中心である脚本を殺してしまっては元も子もありません。

 

他にもいろいろ思うところはありますが、頑張って作品を作っておられるスタッフの皆様にお願いしたいのは、「アニメを作る上では、作品本位の姿勢を忘れないで欲しい」という1点に尽きます。自分の知る限り、大ヒット作品は例外なく作品自体に魅力があり、作品自体の魅力が大ヒットの必要条件だと認識しています(あくまで”必要条件”ですが)。作品を魅力あるものにするためには、作品の設計図とも言える脚本の出来は間違いなく重要になるはずです。

 

良い脚本、とは定義が非常に難しいのですが、一つの基準として、「作り手がやりたいことをやれているか」があると思います。この問いに、作り手が心からYesと言えるのであれば、多少のアラがあろうが突っ込みどころがあろうが、それこそ作り手の熱意で押し切ることも可能なはずです。そういった作品が、いい意味で後世に語り継がれる、そうなると信じています。

 

長くなってしまいましたが、作り手、受け手、みんなが幸せになれる、そのような作品が今後もたくさん出てくることを願っています。